前回のコラムで 「三蜜」は人間の本質であり、「三蜜」によって人は進化してきたので、コロナの感染が終息すれば、また人間本来の「三蜜」の生活が戻ってくることが予想されるとの私の考え方を披露いたしました。

一方では、生産性が劣るとか、効率的でないとかの理由で、多くの企業がリモートワークを導入し、オフィスの廃止または縮小が進んでいます。また緊急事態宣言が解除され、まん延防止重点措置への移行を機に、一部の大学で対面授業が再開されたところもありますが、リモート授業を継続している大学も少なくありません。

もし、コロナの終息後も、効率優先のニューノーマルの生活が継続したら、近い将来日本は沈没するという本質的な大きな問題にお気づきの人は少ないのではないかと思います。日経ビジネス2021年5月21日号は 「少子高齢化」ではなく、その先を行く「無子化社会」の未来というショッキングなタイトルの特集を組んでいます。

その冒頭部分をご紹介しますと 「2020年の五輪を延期に追い込み、飲食業や観光業に壊滅的打撃を与えたコロナ禍。だが、日本経済へのダメージはそれだけではない。むしろ今後長期にわたり懸念されるコロナ禍の災厄は、「少子化の急加速」だ。背景にあるのは、人との接触が制限される社会で進む「恋愛の停止」。婚姻や出産の前提ともいえる恋愛活動が滞れば、少子化は当然一段と加速する。子供が少ないどころか、もはや周囲に見当たらない・・・。そんな「無子化社会」の到来を前に、企業と個人がすべきことを考える。」と述べて警鐘を鳴らしています。

交際相手を持つ18~34歳の未婚者に対する調査によれば、「出会ったきっかけは?」という質問に対し

  • 学校  男性27.8% 23.7%
  • 職場や仕事で 男性18.5% 女性21.5%
  • 友人・兄弟・姉妹の紹介 男性20.7% 女性20.9%
    (出所: 国立社会保障・人口問題研究所2015年調査)

社会学者で中央大学山田昌弘教授は「ただでさえ人口減少が進んでいる中、人と人との接触が制限されるコロナ禍とあっては、恋愛人口も増えにくい。日本における2大出会い場所である学校と職場がオンライン化されたことで、恋愛が生まれる場所が一気に減った」と話しています。

大学を例にとればサークル活動も停滞し、教室も図書館もソーシャルディスタンスが徹底され、気になる相手がいても会話すら困難な状態である。そして、もし恋愛感情が芽生えても、それを育むデートも旅行も簡単ではない。

また、オフィスが廃止されていない職場でも、飲み会などが自粛され男女が親しくなる機会も失われている。恋愛が失われると、デートの際の飲食や映画、テーマパーク、ファッション、旅行などにお金を掛けなくなり、消費が減退し経済に悪影響を与えるのは明白である。

しかし、「恋愛喪失」が日本経済にもたらす最大の災いは、少子化の急加速である。日本の未来を予測した「未来の年表」の著者河合雅司氏は「コロナ禍によって少子化は、従来の予測より18年も早送りされた」と論じています。

「少子化、無子化」社会は、日本経済が没落の階段を一段、一段と降りていくことであるという本質的な問題に気づき、若い方々、いや年配の方々を含め恋愛に励みましょう。そうすればコロナ禍の暗い感情も吹き飛び、明るい雰囲気の社会が戻ってきます。

2021年(令和3年)7月7日 七夕
株式会社JAPAN・SIQ協会
相談役 金子 順一